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AIが100点を出す時代
2026.01.28
僕らが「イチゴを投げ合う」べき理由。
最近、何かに迷ったら、とりあえずAIに聞く。
新規事業のアイデア。
デザインの改善案。
コピーのたたき。
返ってくる答えは、驚くほど整っている。
論理は破綻していないし、配慮も行き届いている。
100点満点中で言えば、だいたい80点から90点。
正直、文句のつけようがない。
でも、その答えを見て、
あなたの身体は少しでも動いたか?
たぶん、動いていない。
AIは「正論のプロ」である
AIが出している答えは、間違っていない。
むしろ正しい。
ただし、それは統計的に正しいという意味でだ。
膨大なデータの中から、
もっとも摩擦が少なく、
もっとも多くの人が「まあ、そうだよね」と言う地点。
つまり、中央値。
AIは中央値を出すのが、異常なほど上手い。
中央値に居座ることのリスク
問題は、
この中央値がビジネスや表現の世界では
ほぼ価値を持たない、という点だ。
想像してみてほしい。
みんなが「それっぽいデザイン」をつくり、
みんなが「効率的な導線」を引き、
みんなが「AI推奨の言葉」を使う。
その世界で残るのは、
差別化ではなく、価格競争だけだ。
正解が共有された瞬間、
それはもう武器ではない。
田中大介の対話の中でも触れられるが、
山口周氏の言葉を借りれば、
AIがコモディティを完璧に供給する時代に、
人間が中央値で勝負するのは、
ほとんど自殺に近い戦略だ。
あえて「外れ値」を狙うという話
じゃあ、どこへ行けばいいのか。
答えは単純だ。
統計から最も遠い場所。
つまり、外れ値。
放送室の中で出てきた比喩が、
この話を一気に分かりやすくする。
イチゴがたくさんあります。
さて、これで何をつくりますか。
ジャムをつくる。
ケーキにする。
スムージーにする。
全部、正解だ。
全部、中央値だ。
そこで突然、
「イチゴで投げ合おうぜ」と言い出すやつがいる。
意味がわからない。
非効率だ。
もったいない。
でも、この瞬間、
世界は一気に面白くなる。
AIには、イチゴを投げられない
AIは、イチゴを投げない。
投げる理由が合理的に説明できないからだ。
効率が悪い。
成果につながらない。
再現性がない。
つまり、
データがない行為だからだ。
だが、
人間のクリエイティビティは、
だいたいこの「意味がわからないところ」から始まる。
身体が先に動いて、
理屈はあとから追いかけてくる。
狂気を飼いならすという生存戦略
ここで勘違いしてはいけない。
狂えばいい、という話ではない。
大事なのは、
自分の中の非合理な美学を、自分で引き受けることだ。
これをやっても、1円の得にもならない。
むしろ損をするかもしれない。
でも、どう考えてもこっちのほうが面白い。
その確信が持てた瞬間、
あなたはAIの支配圏から外れる。
洗練よりも、偏り。
正解よりも、違和感。
最適解よりも、執着。
世界は、正論に飽きている
効率化の果てに、
僕たちは何を失おうとしているのか。
正論だらけの世界で、
本当に足りていないのは、
誰かの外れ値の狂気だ。
みんながうっすら気づいている。
でも、誰もやらない。
だからこそ、価値がある。
今日は、どんなイチゴを投げますか。
当たらなくていい。
理解されなくてもいい。
投げたという事実だけが、
思考を次のフェーズに連れていく。
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